iznewsハイライト April 2002

Date: Tue, 2 Apr 2002 16:06:54 +0900 (JST)
From: Izumi AIZU <izumi@anr.org>
Subject: [iznews] Re: インターネットが危機的状況と題した記事の紹介

ざっと見ましたが、ウェブに書かれている限りでは、ここでの「問題点」は、
かなり誇張あるいは事実について、見解が分かれるものを、一方の見方
だけで書かれている気がします。2001年度の決算については
http://www.icann.org/financials/financial-report-fye-30jun01-statact-revised.htm
2002年度の暫定予算については
http://www.icann.org/financials/preliminary-budget-30mar02.htm
に概要が出ています。

ウェブの記事の、
「まず,資金繰りが破たんを来した。ICANNは,各国インターネット管理団体などから
の寄付金で運営費をまかなっており,政府機関からの資金援助は断っている。」
というのは、全然正しくありません。

資金繰りが破綻したのではなく、一年分のリザーブ(準備金)が確保できないというのが、
リンCEOの、アクラでの報告です。

たとえば2001年の決算では、前年に比較して、収入が約500万ドルから700万ドルへと増加し、
年度末の現金収支も、138万ドルから297万ドルへと倍増しています。もちろん、支出を切り
つめたからとか、借金の返済を延期したからとか、いろいろ細かい状況はありますが、
資金不足で破綻というのは、

しかし、昨年11月のロサンジェルスの年次総会ではそうした報告は明快にはされてい
ません。
収入は「寄付金」だけでなく、「分担金」も課せられています。「政府機関からの資金援
助を断っている」というのも、そもそもそうした申し出がされたという話は、少なく
とも公的には聞いたことがありません。

この「資金不足」というストーリーは、ICANNの組織と権力構成のあり方と密接に
かかわっていることで、その決定如何によって、大きく方向は変わります。 

「しかし,寄付金は思うように集まらず,まともな運営ができる状態ではなかっ
た。例えば,「給与が払えないので専任のスタッフも増やせず,スタッフはみな過負
荷の状態。旅費も出ないので理事やスタッフは頻繁に集まることができず,多言語ド
メイン名の仕組み作りなど,やるべき仕事をこなせない状態だ」(加藤幹之まさのぶ
理事)という。」

とあります。これは、加藤さんに直接確認したほうがいいと思いますが、「給与が払
えない」
というのは、かなり誇張がある気がします。

多言語ドメインの活動について、資金と時間のサポートが足りないというのは、実態
だと思いますが、
同時に役員、スタッフ間での、優先順位についての認識の問題も関係しているのでは
ないでしょうか。
背景に、「あまり無理に急がなくていい」という意見も(私は反対ですが)あるよう
に思います。

「資金不足からいまだにルート・サーバーの実質的な運用・保守を,通信会社など民
間企業のボランティアに頼っている。ICANNは人もお金も出していない。インターネッ
トの根幹たるルート・サーバーの稼働はICANNによる保証がなされていないのである。 」

とありますが、これは資金不足とは無関係な問題だと思います。
なにより、ルートサーバーをICANNが一括管理すべきだという合意があるわけではまっ
たくありません。

むしろ、全世界13箇所に分散しているのルートサーバーを、ICANNが人とお金を出して
一元管理することのほうがかえってリスクが高まり、問題だという意見も強くあります。現状
で問題ないという声も強くあります。

ルートサーバーの運用は民間企業だけでなく、大学、政府機関など、さまざまな主体
が担っています。
「ボランティアだから駄目」と一方的に決め付けるのは、インターネットの運用の実
態を理解していないように思います。 

もっとも、日経コンピューターの記事を見ていないので、私の見解も早計かもしれま
せんが。

なお、このあたりの問題については、インターネット・マガジンの連載に書いていて、
さきほど書き上げて送ったばかりです。

編集部からOKが出れば、ウェブに掲載しようと思います。

会津 泉

At 14:41 02/04/02 +0900, ohashi seiei wrote:
> 日経BP社のHPや、日経コンピュータの3月25日号に「インターネットが危機
>的状況 
>運用体制の刷新を急ぐ管理団体ICANN」と題した記事が掲載されておりました。
> 加藤さんが語られた話としても、紹介されております。
>
> urlは http://itpro.nikkeibp.co.jp/NC/members/NC/REPO/20020328/2/
>です。
>
> もうご存じの方もおられるかも知れませんが、これまでのiznewsでの論点と異なる面も
>含まれており、元々の運用体制に潜む財政的な問題点や、日経コンピュータ誌にはもっと
>詳細に、今度の選挙に関しても別の問題点が有った事を示唆しております。
> 当事者ではありませんので、あくまでも報道されておりました内容の、御紹介に
>とどめて
>おきます。
>
>                                     
>  以上 
>****************************
>* 東電環境エンジニアリング株式会社         *
>*  企画管理部                   *
>*    情報システムグループ長 大橋 清栄     *

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Date: Tue, 2 Apr 2002 22:10:16 +0900 (JST)
From: Izumi AIZU <izumi@anr.org>
Subject: [iznews] ICANN「改革」の行方 インターネット・マガジンの記事を掲載しました

編集長からお許しが出たので、本日書き上げたばかりの原稿、
ANRのウェブに掲載しました。 URLは、以下です。
www.anr.org/web/html/index.htm

なお、ルートサーバーの運用体制については、この原稿にも書きましたが、
やはり、ICANNのリンCEOが提案するような、ガチガチの体制はかえって
マイナスだということ、とっても思います。今夜、村井さんと会って話したの
ですが、結論はほぼ同じでした。

明日から、スペインのバルセロナに出張します。コミュニティ・ネットワーク
の世界大会の準備で。

<地域が大事>というのが、基本命題だと思います。ボトムアップ、の。
かくいう私は、明らかに「遊牧民族」なのですが。

会津 泉

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Date: Wed, 3 Apr 2002 12:04:08 +0900 (JST)
From: Izumi AIZU <izumi@anr.org>
Subject: [iznews] Re: RE: [iznews] ICANN 「改革」の行方 インターネット・マガジンの記事を掲載しました

加藤さん、唐澤さん、

ご心配?ありがとうございます。 機内では、アルカリアルコール飲料を飲んで
すぐ寝る、というのが健康法になっています。適量、ですが。

コミュニティの定義、社会学的にはとてもいろいろあるようです。
前に勉強しかけたことがあるのですが、難しくて途中で挫折しました。

加藤さん、ルートサーバーについては、じっくり議論すべきことで、
拙速は避けるべきだと思ってます。均一の体制になることは、けっこうリスクが
高いと思います。また、「ボランティア」ということの意味、価値についても、
既存のビジネスとの対比で、「無責任」「いいかげん」とよく誤解されるのです
が、既成観念より、実態に即した議論が必要だと思います。

さて、そうですかとうとう長い間のアメリカ生活に終止符を打たれるのですね。
本当にご苦労さまでした。加藤さんなら、「浦島太郎」にはならないと思います
が、でも私もマレーシアから3年たって帰ってきただけで、けっこうとまどうこと
が多かった(いまでも)ので、大変かもしれませんね。

とりあえず、 Welcome Back! です。
さて、例によって成田のラウンジなのです。あと5分で搭乗です。
バルセロナは、4回目かな。いつも、会議ばかりで、ゆっくり観光=
文化学習をしたことがないのですが。スリだのけっこう多いというのが
気になります。

会津 泉

At 06:47 02/04/03 +0900, Masanobu Katoh wrote:
>会津さん
>
>またご出張とのこと、大変ご苦労様です。でもバルセロナなら
>あまり不満もないかもしれませんね。インターネットメールマガジン
>も拝見しました。ありがとうございました。
>
>ルートサーバーの運用体制については、私も先日ガーナで村井先生
>にも、「今すぐに問題と言うことでないなら、どういう運用体制がよいか
>もう少し時間をかけて考えるべきだ」ということを申し上げました。
>ただし、自由放任が良いのか、今本当に問題、リスクが無いのかと
>言うと、そうでもないと思います。ICANNの再構築の議論の一部に
>なって、問題の焦点がぼけてしまわないことがより重要だと思うのです。
>
>私は管理強化とか、規制を主張するつもりは無いのですが、
>13人の兄弟の信頼関係で成り立っている(とおっしゃる方が多いので
>その言葉を使わせていただきますが)機関インフラって、やはり
>じっくりと見直す必要があると思っています。ICANNは、その方向で
>作られた意味もあります。このあたり、引き続き議論して行きたいと
>思います。
>
>実は、私事で恐縮ですが、4月1日付けで辞令を受け、日本に帰任する
>こととなりました。引継ぎ等もあって、最終的に帰国するのは6月
>中旬となりそうです。今後は、会津さんを始めイズニュースの多くの
>読者の方々とより頻繁にお話しさせていただけるのが楽しみです。
>富士通では引き続きICANNの問題等、今までの仕事を思いっ切り
>継続することに理解を示してくれています。(これには本当に感謝
>しています) 国際化ドメイン名の問題等、アジアでの活動が多いので、
>日本への本拠地移動も、よりアジアの声を反映することができるかと
>思っています。
>
>どうか、いままで通り、宜しくお願いします。
>                                加藤幹之

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Date: Fri, 5 Apr 2002 15:35:56 +0900 (JST)
From: Izumi AIZU <izumi@anr.org>
Subject: [iznews] バルセロナです

一昨日の夜、11時過ぎに、ここバルセロナ郊外のコルネヤというところに
着き、昨日は一日、会議でした。

電源プラグのアダプターを忘れて、昨日の夜まで、パソコンがつかえなく
て・・・やっと借りました。

今回の出張は、Global Community Network Partnership といって、世界の
コミュニティ・ネットワークの活動家たちの集まりです。

メンバーは、スペイン、イタリア、フランス、イギリス、アルゼンチン、
エクアドル、カナダ、オーストラリア、インド、そして日本といった
ところから来ました。今回はアメリカがいないのです。

2000年秋にバルセロナで第一回、昨年12月にブエノスアイレスで
第二回の「世界大会」を開き、今回は、その後の「幹事会」で、
今後の活動の方向性、戦略、組織作りなどについての議論です。
今年10月にモントリオールで、来年、オーストラリアで、次の大会が
開かれる予定です。

日本の地域ネットワークの関係者の皆さんにも、ぜひ参加していただ
けるよう、「橋づくり」に来たつもりです。私も昨年参加しなかったので、
まだ状況を学習している段階ですが。

会議が終わったのが夜7時、ディナーに出かけたのが、夜9時と
さすがにラテンの国です。近くのレストランで、フラメンコ。といっても、
あの女性の踊りが出てくるのではなく、10数人の人たちが椅子に
座って、ギターと手拍子で次々に歌を歌いのです。カスタネットもなく。
最後に、男女で踊りが、アンコールで出ました。

観光用ではまったくなく、地元の人たちが自分たちで楽しむために
演奏しているのでした。それはそれで、とても素晴らしいものでした。
帰りにお土産のCDをもらって。もちろん、彼ら自身の。

バルセロナは、カタロニヤで、フラメンコは、もともとはアンダルシア
のもの、でも、ここコルネヤは、スペイン各地からの移民の人が多く、
昨日の店は、このあたりでは、フラメンコ文化の中心になっている
ようです。

さて、今日も9時から7時まで、会議がびっしりです。明日も。
昼間は、どこも見て回れません。あたりまえ、ですが。

会津 泉

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Date: Thu, 18 Apr 2002 23:17:55 +0900 (JST)
From: Izumi AIZU <izumi@anr.org>
Subject: [iznews] ご案内 <サイバーアジア研究会 最新韓国ネット事情> 20日土曜日

第4回「サイバーアジア研究会」を開きます。今回は、韓国についての報告、
豪華二本立てです。
まだ席に余裕がございますので、参加を希望される方は、会津まで至急ご連絡いた
だければ幸いです。  (メールをizumi@anr.org へ)
       記
日程:4月20日(土)16:00〜18:00 ※終了後、懇親会を予定しています。
場所:(社)共同通信社5階第2会議室
     参照地図 http://www.kyodo.co.jp/kikaku/profile/ 
スピーカー:
 ・飯塚留美((財)国際通信経済研究所)さん
 「韓国のインターネット放送事情」
  規制環境と、実際のビジネスの両側面からのご報告

 ・浜田忠久さん(JCAFE)
  4月11日〜14日、ソウルで開催される「日韓市民社会フォーラム」のご報
  告。その他インターネットを駆使して落選運動を行なった参与連帯などの訪
  問についても。

参加費(会員):一般1,000円、学生500円 
    (ビジター):一般3,000円、学生1,500円
年会費:一般10,000円、学生5,000円 (2001年9月から2002年8月有効)
では、お待ちしています。

会津 泉

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Date: Thu, 25 Apr 2002 01:50:50 +0900 (JST)
From: Izumi AIZU <izumi@anr.org>
Subject: [iznews] Re: Re: [iznews] メッセージが途絶えていると

三宮さん、福富さん、ご心配おかけして、すみません。

いえ、元気です。ただ、連日原稿書きに追われていて、というか締切りを
過ぎてるのが多いし、その担当の編集者の人も、たいていこのリストに
いるので、つい書きそびれているというのが正確なところでしょうか。
ICANNの選挙、実はさぼって、あまりなにもしてませんが、自粛している
わけでもありません。

ああ、まだ原稿が、、、。と、こういう感じです。他に仕事も雑用が
たまって。出張の合間に、です。

それにしても、ICANNの「改革」、問題が多いですね。ユーザーの
集まりをつくらないといけないと、思うのですが、気持ちだけが空転して
いる気もしています。

会津 泉

At 01:02 02/04/25 +0900, Tadakazu Fukutomi wrote:
>福冨です。
>
>わたしがフォローすることでもなさそうですが、icannatlargeのInterim Panel選挙の最
>中ですので、会津さんは忙しいか、自粛しているのか、いずれかではないかと推測してい
>ますが。
>
>Sent: Thursday, April 25, 2002 12:14 AM
>Subject: [iznews] メッセージが途絶えていると
>
>
>| 台東区に勤務しています三宮と申します。
>| ここ数日、メッセージが途絶えていますと、もしかしたら閉鎖された
>| のかしら・・・など余計な心配もして、日頃感じていました事をアップし
>| ています。

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Date: Tue, 30 Apr 2002 21:54:57 +0900 (JST)
From: Izumi AIZU <izumi@anr.org>
Subject: [iznews] <ICANNはダウンサイズを>

皆さんご承知と思いますが、インターネットのドメイン名などを管理するICANNは、
リンCEOの「改革」提案を受けて、役員会がアクラ会議で「進化・改革委員会」を
設置し、本格的な組織再編のための検討に乗り出しました。

同委員会は、まず、4月末までにこれについての意見を提出することを求めました。
実際にはそれほど多くのコメントが送られたわけではありません。私も締切りぎりぎり
になって、そうにもやむにやまれぬものを感じて、簡単なコメントをまとめて送りま
した。

その原文を、ANRのホームページ www.anr.org/web/html/output/2002/0429.htm
に、掲載しましたので、興味ある方はどうぞご覧ください。

また、同委員会は、本日付で「中間報告」を出しています。
www.icann.org/committees/evol-reform/report-29apr02.htm
寄せられたコメントも掲載されています。

以下は、私の私案の大要です。

・ICANNは大きくなりすぎたので、4つの独立した組織体に「ダウンサイズ」して再編すべ
きだ。すなわち、技術運用組織、アドレス管理組織、グローバルTLD管理組織、ccTLD
管理組織である。国別ドメインを管理するccTLD管理組織は、ICANNの責務の外側に
独立した組織として存在すべきだ。

・これら4つの組織体は、緩やかで相互の拘束力をもたない形でヨコの調整が行われる
必要がある。

・インターネット運用の基本原理である「自律分散協調」は、今回の再編においてもベー
スとすべきだ。

・組織の運用経費は、これらの組織・機能の受益者が負担すべきである。

・公的利益(パブリック・イントレスト)は、これらの組織が生む実際の価値に応じ
た形で尊重され、実現されなければならない。

・活動を国際化するために明確なガイドラインが実施されるべきである。
 分裂を避けるために、地域単位での協力活動を追求する必要がある。

 駆け足でまとめたので、「仕上がり」はイマイチかと思いますが、でも「自律分散
協調」をコアにして、<小さなICANN>をめざすことは、そのいわば逆をリン提案がしただ
けに、大事なことと信じています。

 たぶん連休明けになると思いますが、これと近い考えを書いた原稿が、日経新聞
のコラム、「ネット時評」 http://it.nikkei.co.jp/it/njh/index.cfm に掲載され
る予定です。

 英語のコメントは、この原稿の後に書いたものです。
 この5日から、DOTフォースの「最終会合」で、カナダのカルガリーに行ってきます。

帰りにモントリオールで、カナダのICANN関係者たちと会って議論をしようと
予定しています。 本当は、もっと多くの人を集めて<合宿>をしたかったのですが、
なかなか難しくて、小規模な会合になりました。

会津 泉

 

 

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