続・インターネットのY2K問題『日経ネットビジネス』連載 アジアネットワーク便り(99年10月号) (アジアネットワーク研究所/クアラルンプール) 最近急成長しているネットビジネスでも、WebサーバーのOSにY2K修正パッチを当てたり、顧客データのバックアップ対策をするなど、システムのY2K対策は十分徹底する必要がある。アウトソーシングしている場合には、業者に具体的な報告を求めることがポイントだ。 この夏、米国のワシントンDCで、インターネットの2000年問題をテーマに、米国政府・ホワイトハウスが呼びかけ、民間産業界と共同の対策会議を開催し、私もアジア太平洋インターネット協会(APIA)の代表として出席した。 会議の内容は公式発表がWebに出ているので、それをぜひ見ていただきたいが、予想される具体的な問題点を指摘し、対策の徹底を訴えるものとなった。時期こそ遅れたが、米国政府が公式にインターネットについても問題の所在を確認した。 APIAはインターネットはグローバルに相互接続されたオープンなネットワークであることを強調し、米国内だけでなく、国際的な協力・連携の重要性を訴えた。実際、マレーシアからシンガポールあてに出したメールは、米国のパロアルト経由でシンガポールに運ばれるというように、アジア各国同士の接続は直接ではなく、米国経由で別の国につながることが多い。そこで、米国のインターネットがY2Kの影響で一部でもダウンすれば、アジアのインターネット接続に影響が出る。反対にアジアのどこかでトラブルが起きた場合にも米国側に影響がないとは言い切れない。 インターネットは分散型のネットワークで、局所的に機能がダウンしても必ず代替する機能やルートが稼働する。原理的にネットワーク全体がダウンするような心配はまずない。しかし各ネットワークを構成する機器・システムは、ルーターやサーバーからWebや課金のシステムまで、個々の運用責任者の責任でソフト更新などのY2K対策を行うのが原則だ。あるネットに故障が出れば、相互接続している他のネットに影響が及ぶ可能性も考えられる。インターネットは運用面では「協調ネットワーク」、つまり関係者同士が協力し合うことで正常に動いていることを忘れてはならない。 日本では日本インターネット協会が呼びかけ、インターネットのY2K問題に取り組む「タスクフォース」が発足する。ネットの安定運用に重点を置き、万一に備えた監視連絡体制をつくる方針で、米国など海外の関係者とも連携する。
気になるのはアジアだ。Y2K対策も、ただではできない。人手と資金が必要だが、不況の影響で余裕がないプロバイダーも少なくない。技術的にも米国ほど専門家が多くはいないため、対策も十分実施できない恐れがある。APIAは、アジア各国にインターネットのY2K対策の推進を訴える巡回セミナーを企画している。しかし資金と人材が壁になっている。最低限必要なことは実現するつもりだが、万全とは言いがたい。時間があまり残されていない中、日本からの支援も期待したい。
|
||||||||||||||