爆発するアジアのネット



『日経ネットビジネス』連載 アジアネットワーク便り(2000年3月号)


会津 泉

(アジアネットワーク研究所/クアラルンプール)



 心配されたY2Kは、幸い深刻な被害が出ずに過ぎていった。「騒ぎ過ぎ」との指摘もあるがそれは違う。報道されていないところで細かいトラブルはずいぶん起きている。関係者の努力が奏功したから無事に新年が迎えられたのであり、対策費を節約して半分にしていたら、トラブルが5〜10倍は起きたことは間違いない。日本・アジアのインターネットの関係者もチームを組んで障害監視・情報共有の活動を行い、今後につながる成果を上げた。

 さて2000年初頭のアジアのインターネットの動きを調べてみると、「爆発」というしかない猛烈な普及が各地で始まっている。

 例えばシンガポールでは、2000年4月からサービス開始予定の新電話会社スターハブが99年12月に「無料インターネット・サービス」を打ち出した。Web利用だけなら無料というサービスだ。これには1週間で20万の申し込みが殺到した。人口400万人弱の国だから、日本なら600万人に相当する。これまで電話を独占し、ネットでも最大のプロバイダーであるシンガポール・テレコムが、対抗上同様のサービスを打ち出して激しい価格競争が始まった。

 同じシンガポールでは小学校の教室に黒板がない。日本の国際情報化協力センター(CICC)から届いたレポートによると、先生はパソコンと液晶プロジェクターをつないで資料を見せながら授業する。シンガポールの小学校のパソコン導入率は100%、日本は97.7%。同じように見えるが、1校当たりの台数は、シンガポールが233台、日本が12.9台と20分の1だ。インターネット接続ではシンガポールが100%、日本は27%、職員室のパソコンはシンガポールが教員2人に1台、日本は全部で1.7台。レベルが全く違う。

 韓国ではインターネットの利用者が1000万人を突破した。この勢いだと2000年末までに1300万人、2001年には2000万人になる。日本は99年末で約2000万人。韓国の人口は4600万人で日本の約5分の2だから、普及率でいえば既に日本より上だ。

 台湾のインターネットの利用者は約600万人、1年間で倍増と発表されている。台 湾の人口は約2000万人、普及率30%だから、日本の2倍近い。ネットでいえば、アジアの先進国は「リトルドラゴン」、つまり韓国、台湾、香港、シンガポールの4国となり、日本は経済力を考えれば立ち遅れている。

 その日本でもブームが加速していることは間違いない。今、業界関係者の話題はIPO(新規株式公開)だ。東京証券取引所が新設した市場「マザーズ」に上場した最初の2社、インターネット総合研究所(IRI)とリキッドオーディオ・ジャパンは、どちらもインターネット関連会社である。IRIは1170万円の公募価格でスタートして、2週間で7000万円にまで上昇した。「あれはバブル。いずれ暴落する」という声もあるが、この株価はネットビジネスへの期待の高さを反映したものだろう。後に続こうという企業が続出している。

 日本でもう1つ、世界中の関係者が注目しているのが、NTTドコモの「iモード」だ。携帯電話で簡単にメールの受発信から銀行取引、電子商取引までできる。このサービスがほぼ1年で約400万人の新規ユーザーを獲得するという事実は驚異に見られている。




■ 今月のおすすめウェブ
スターハブ   http://www.starhub.com.sg/
CICC(国際情報化協力センター)シンガポール   http://www.cicc.org.sg/
インターネット総合研究所(IRI)   http://www.iri.co.jp/
リキッドオーディオ・ジャパン  http://www.liquidaudio.co.jp/
東証マザーズ   http://www.tse.or.jp/mothers/
iモード(NTTドコモ)   http://www.nttdocomo.co.jp/



[ アウトプット ] [ ホーム ] [ 電子メール] [ 研究会 ] [ ANR リンク集 ]
Copyright(C) 2000 アジアネットワーク研究所